
「良質なタンパク質を与えてください」このワードは犬猫の飼い主さんなら、動物病院などいろいろな場所で一度は聞いたことがあると思います。でも、これを説明できる人は少ないです。獣医師や動物看護師に聞いてもふわ〜っとした答えしか返ってこないかもしれません(笑)
今日は「良質」って何?について分かりやすく解説します🙆🏻♂️✨
結論
健康な猫にとっての「良質なタンパク質」は基本的に動物性タンパク質です。
3つの「良質」
アミノ酸スコアが高い

(出典:ロイヤルカナン 犬と猫の栄養成分辞典)
タンパク質はアミノ酸でできています。アミノ酸の多くは体内で合成できるのですが、一部は合成できません。そういうアミノ酸は食事で摂るしかありません。これを「必須アミノ酸」といいます。「必須アミノ酸」がその食材にどれくらいバランスよく含まれているかの指標を「アミノ酸スコア」といいます。このスコアでタンパク質を見ることができます。
必須アミノ酸は人と犬猫で数が異なり、人は9種類、犬で10種類、猫で11種類です。「アミノ酸スコア」は人間基準の指標なので、犬猫ではあくまで傾向を見る物差しですが、スコアが低いタンパク質は犬猫にとってもアミノ酸バランスが悪いと言えますよね。傾向としては、概ね動物性は高く、植物性(とくに穀物由来)は低くなりがちです。ちなみに、タウリンは植物性タンパク質にはほぼ含まれません。したがって、猫にとって植物性タンパク質のアミノ酸バランスは超悪いということになります。そういう理由で、犬猫のフードでは必要に応じて合成アミノ酸を補ってバランスを整えるのが前提になります。
消化率が高い

消化率をざっくり説明すると、便にならず体内に吸収される割合のことです。みなさんのお察しの通り、動物性タンパク質は消化率が高い傾向があります。ただし、一部の報告ではラムや鹿でやや低めに出た例もあります。
植物性については少し事情が分かれます。
精製・濃縮品は動物性タンパク質と同程度に高いです。例えば、小麦グルテン、コーングルテンミール、米タンパク、大豆タンパク、ポテトタンパクなどですね。
一方、全粒穀物のように食物繊維と一緒に摂る形だと消化率は下がりやすいです。
生物価が高い
生物価は、消化吸収されたタンパク質中の窒素がどのくらい体内のタンパク質合成に利用されたかを示す指標です。簡単に言うと、どのくらいゴミを出さずに使えているかの指標です。
生物価は人のデータで、鶏卵を100として数値化されます。動物性タンパク質は83~100、植物性タンパク質は54~74で、動物性タンパク質の方が高い傾向が見られます。
例外

ここまである意味、植物性タンパク質のネガティブキャンペーンをしてきましたが、実は、植物性タンパク質の使いどころもあります。代表例は慢性腎臓病用療法食。つまり、リン制限が必要な場面です。一般的に植物性原料は動物性原料に比べてリンが少ないです。そのため、植物性タンパク質と合成アミノ酸を組み合わせて必須アミノ酸のバランスを調整すれば、リンを制限しつつ十分なタンパク質を補給できます。もちろん、生物価は動物性タンパク質より下がりやすいですが、総合的に見て、この状況では植物性タンパク質が有用です。
まとめ
健康な猫にとっての「良質なタンパク質」は動物性タンパク質が基本。ただし、病態や目的によっては植物性タンパク質を適切に補完して使うことで、より良い栄養設計が可能になります。
このコラムを読み返していただき、「良質なタンパク質って何?」って聞かれた時は答えられるようになりましょう👍✨
今週の余談(悩み中なこと)
実は、最近YouTubeチャンネルを2つ作ってみました。僕の動画をもっと分かりやすく(つまり、頭を使わなくても理解できるように)したラジオ番組です。
くぅ→空→そら・・ってことで獣医師そらのラジオ番組です(笑)
もちろん、僕が監修しているので内容は問題ないですのですが、機械音声なので僕的にはあまりしっくりきていません😅
最近、フルAIの犬猫の情報発信番組が増えてきており、しかも再生数も高かったりするので、何か対抗できないかな〜と思案中です。情報源は僕や沢辺さんの動画かもしれません。それをAIに学習させて動画にしているYouTuberさんはおそらく犬猫にまったく興味のない一般人です。
ということでみなさま、「フルAIの動画」にはご注意くださいませ🙆🏻♂️(ブーメランw)